2023年10月23日 朝 特別伝道礼拝『後ろの戸を閉じて』榎本 恵 牧師

創世記7:1-16

父、榎本保郎牧師のファンであるある信徒さんが言われました。保郎牧師は、信じるだけではダメだ、とおっしゃている。信じ切らないとダメだと。禅問答の「放下著、ほうげじゃく」。ある修行を終えたものが老師に、これからのことを尋ねました。老師が示したのは、放下著。「捨て切れ。修行してきたことも全て捨てよ」、と。忘れるほど信じ切ることです。信じていることさえも忘れてしまうほど信じ切ることです。幼子は母の胸の中で信じているなどと言いません。言葉などいりません。信じ切ることです。幼子が母を信じるとき、大きな御手の働きの不思議さを意識していることでしょう。今日の聖書、ノアの箱舟の物語。注目したいのは箱舟の扉を神様が閉じられたことです。それは何を意味するのでしょうか。過去との決別。もう後ろを振り返らない。振り返ってはならない。ロトの妻のように。救いへと導かれたものの姿。全ては神のみ手の中にある。その内側にある。大いなる安心。その扉は、人間が閉めたのではなく神様が閉めたのです。この経験は極限状態での経験。世界との訣別。閉じ込められた。しかし、そこで終わったのではありません。そこから始まって行くのです。引き続き何日もの間続いて行きます。神様によって閉じられた扉。安心な日々。それは、いつしか信じることは、信じ切ることへと変えられて行ったのです。私たちも同じでは。大いなる決断を持って信仰へと。ただ導かれて箱舟に。ノアの家族だからと言ってなどと色々です。それでも神によって選ばれ、救われていることさえも忘れてしまうほどです。病いや様々な困難、経済の問題が襲いくる中で、私たちは不安と恐れの中にあります。本当に神はおられるのか。神様はしっかりと私たちの後ろの戸を閉じられます。私たちのこの扉、神様が閉めてくださる。私たちはこれからどのようにして行くか。欠かさず神の前に立つ。私を守ってくださる方がおられる。自分の力ではなく、神こそが私たちを守り、導いてくださることを知るのです。